Kaito Several捜索について

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      1年ほど前にbandcampで購入した音源を聴き返したらかなり良かったから本人ついて知ろうとしたところアーティストページが消えていて、アプリから見れるアルバムページしか情報が無く仕方がないから探してみることにした。今時SNSを一切やってなかったみたいで調べても何も出てこないし、サブスクに出してた痕跡らしきものはあるんだけど俺が買ってるってことは2023年の時点ではもうそれもやめてたはず。まあ自分のために音楽をやっているだけであんまり表に出たくないのかもしれない。そういう人を無理に探そうとするのは下衆な人間のやることな気もするけど俺としてはこの音楽を作る人がどういう人なのか気になってしまったというか、まだ音楽はやってるのかとかどんな音楽に影響を受けてるのかとか。もしバンドをやってるとかがあったら見てみたいしあわよくば自分のイベントに呼べたらぐらいの下心もある。ただ正直今のSNSの反応を見る限り発見は難しそうというか、あんまり本人に辿り着きそうな気配は正直感じないかも。まああんまり期待もしてないのが本音。
      今回Youtubeに音源を勝手に公開してSNSでそれを広めたのは単にこの音楽がこの先俺と本人しか聴くことができないのは勿体ないと思ったからで、届くべきところに届いたらそれでいいだろというかまあそんな気分。音楽って公共物みたいな側面があると思うから良い音楽の音源を持っていて尚且つそれを多くの人が聴きにくい状況にあるのならアーカイブする義務も発生するんじゃないでしょうか、本人が聴かれたくないって言って怒ってきたら消すしかないと思うけど。海外のYoutubeチャンネルが良いアルバムをバンバンフルで公開するみたいなのもよくあるし、こういうのって法律的にはダメだったりするかもしれないけど音楽的にはOKみたいな温度感で行われてるからまあ何を大事にしたいかですね。音楽より法律を大事にする人の感性はよくわかりませんが。
      SNSで拡散するときわかっている情報はなるべく載せようと思って年齢とかも書いたんだけどこれは失敗だったかも、個人的に好きじゃない喜び方をする人がチラホラいた。まあ結局人は音楽に物語を求めてるから10代が作ってるってのは人が飛びつきやすい情報なのかなとも思った。天才現る!とか言って喜んでる間抜けはこの音楽は今現れたんじゃなくて2年前に現れたものを誰も見つけられなかったという事実に恥じるぐらいはしても良いんじゃないですかね。
      音楽って星の数ほどあるからどんなに良い音楽でも宣伝の上手い下手とかで簡単に埋もれるし、良い音楽も星の数ほどあるから埋もれた音楽をわざわざ探しに行くようなことをする必要は無いのかもしれないけれど、SNSで誰かがある程度の言語化をした音楽に飛びついて年齢がどうとか天才がどうとか言うのはハッキリ言って馬鹿丸出しだろぐらいのことは思う。まあ俺もそんなに熱心なディガーとは言い難いし月に何回とかその程度のペースでbandcampでジャンル絞って掘るとかせいぜいそんなもので、古い音楽に関してはもう本買って勉強みたいな感じで聴くことも多いけど。
      あとたまにある言説である程度良い音楽はかならず見つかるみたいなのがあるけれどあれは完全にバイアスかかった発言というか、見つかった音楽にはそれなりの理由があると思うけれど音楽が星の数ほど存在していることを言葉通りに理解できていないんじゃないかと思う。まあディグって概念が何のために存在してるのかとか、熱心なディガーがなぜ尊敬されるのか(ディグを怠る人間がなぜ軽んじられるのかと言い換えても良い)みたいなことについて考えてみるのも良いんじゃないでしょうか。個人的にディグってのは半分は個人的な喜びの追求であると同時に半分は音楽への奉仕だと思っていて、つまり音楽の価値を聴取の純粋な感性によって決めるためというか、一番宣伝の上手なやつとかお金持ってるやつが勝つ世界なんてものは音楽意外の都合に音楽を委ねすぎでしょというか。向こうから教えてくれる音楽ばっかり聴くんじゃなくてこっちから探しに行かないと良いとか悪いとか全部誰かに決められてるような気しませんか?見つけてもらう気のない音楽はこの世界に存在してないものとするのは正直主体性の欠けた態度だと思うし、まだ物語を持たない音楽に対して鈍感な人が多いような気がしてます。
      とまあいくつかの引用とかを見てそんなことを思いました、俺もあんまり人のこと言えないんだけどね。
      はい、長々と書いた文句なんかは本当にどうでもいいんでKaito Several聴いてください。マジカッコ良いし彼がこのアルバムの公開をやめた理由はわからないけど、これが人に聴かれないのは多少の損失とは言えるでしょ。もし音楽やめちゃってたらまた始めて作品を作ってほしいしライブをするなら見たいと思う。今回この素晴らしい作品を個人的な恨みつらみのダシにしてしまったのは俺の器の小ささ故だから許してほしい。

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