8月はなんか必要以上に忙しかった気がする。別に楽しかったけど、あんまり色々あると振り返るのがめんどくさい。酒の飲みすぎで太ってきた気もする。即興コンピの募集開始したので興味ある人はぜひ。映像提出も可なんで、色々やってみてください。自分もやりたいことは色々ある気はします。やれるかはわかんないけど。
見た映画
『メレディス・モンク 踊る声、歌う身体』 監督:ビリー・シェバー デヴィッド・C・ロバーツ
良かった。こんなに感動できるならエリスアイランドとかも雨の中見に行けばよかった。再上映してくれないかと思ってるけど、どうだろう。映画としては別になんでもない出来だとは思うけど、メレディスモンクの姿がたくさん見れてそれだけで自分としては満足だった。彼女の明るい雰囲気だとか、性格の真面目なところとか、芸術への実直な態度だとか、そういったものを真っ直ぐ見れるだけでなんとなく気が楽になる。さりげなくて良いなと思ったのは、メレディスモンクのパートナーについてのくだりで、いい話をたくさんしてたなとかは思ったけど、書くことでも無い気がするから割愛。ユーロスペースでまだやってると思うから暇な人は見に行って欲しい。
『ある日、ピナは尋ねた…』 監督:シャンタル・アケルマン
メレディスモンクの映画を見た時に番宣をやっていて、面白そうだから見に行ったんだけど、これと抱き合わせで見せられたピンクシュレンマーって映画で具合が悪くなって全然集中できなかった。そのせいで感想なんか何も無いんだけど、ああいう催眠的というか、何か映像の効果みたいなものだけを抽出して倍増したというか、美しさとは別のところに目的がありそうな表現は死滅して欲しい。一緒に見に行った友達はアケルマンの映画に凄い感動してて、それはなんか良かったと思った。
『急に具合が悪くなる』 監督:濱口竜介
この映画の感想を書きたくなくてブログの更新が面倒になってた気がする。しかしまあ、ある程度言いたいことというか、思ったことはそれなりにある映画ではある。まず全体として俺はあんまり肯定的ではないんだけど、じゃあ適当に文句言って終わりにするのもどうなんだろうとかも思う。自分の作ったアルバムと発想が遠いとも思えない。むしろ同じような発想で、というか現代のそれなりにリベラルな作家の問題意識はだいたい同じようなものであると思うんだけど、その上で作品が単なるイデオローグに陥ってしまうのが時代的な捻じれとしてあるわけで、じゃあ戦争の時代にどうすれば映画とか音楽を良いものとしておけるのみたいなことをみんな考えてるんだとは思う。正直これは音楽とか映画そのものの問題だから、Spotifyから撤退したぐらいじゃどうにもならないし、別に悪いとは思わないけれどフジロックでパランティア批判をしてみたところで結局価値にしかならないじゃん…みたいなことを思うのは前提としておくべきだろう。
その前提に立って、しかしまずはそういった政治の云々を横に置いてこの映画について思ったこととして、途中の即興劇での「近くで見ると誰もまともじゃない」ってのは良いセリフのはずなのに、そのセリフを最後まで信じられてない映画だと思った。つまり、映画に出てくる人達は揃いも揃ってまともでしかないというか、この映画に出てくる人達の人生の問題って全部人に話せるというか、その人の人生の問題に接近してみた時に見える捻じれ、特にこの場合人格的なものを期待するけれど、そういったものは全く描かないまま終わったなとは思った。
”まとも”みたいな概念は境界的なものでしかなくて、その境界って恣意的だったりするからそれを疑おうって主張は普通にその通りだと思うけど、映画がそこについていけてないと思う。映画を見る人間の認識する”まともでない人間”の代表として登場しているのが自閉症の青年であるとして、映画内の即興劇の内部ではそのカテゴリー的な認識が取り外されてつまりハプニング的な行動も内部に包摂された作品づくりに可能性を見出すってのはそんなに悪いと思わないしむしろ良いシーンだと思ったんだけど、それならもうちょっと主人公たちの”まともでない”部分を見せてよとか思うのは趣味が悪いんだろうか。そりゃあそこでやりたいことは露悪による価値の転倒では無いのはわかるし、別に主人公たちがまともなことによって傷つくものは何も無いと思うんだけど、しかしそれなら映画にする意味って何だったんだろうとは思う。正しいことしか言ってないじゃん。正しいことは大事だと思うけど、それを知らない人が見に行く映画では無いんじゃないの。この映画の基本的な物語構造は露悪的な言い方をすれば死別ロマンスの物語で、もう少し映画的に言うのであればメロドラマだと思うんだけど、その死別のメロドラマの倫理的な危うさを現代に通用させるためにやったことが、結局こちらの高い倫理観に合わせて罪悪感を取り除いてあげるみたいなことなんじゃないかと思えば、このセリフが良いセリフなだけに納得のいかなさもある。
勿論この映画の目的がそこにあったと言い切るわけでは無い。メロドラマであることに主眼があったのならもう少し違った作品になってたんじゃないかとも思う。例えば主人公の職場での描写の数々も実際それそのものが目的だと言っていいような深刻さがあったと思う。自分も家族の関係でよくああいう場所には行くから全く無関係な問題とは思えない。”まとも”の問題について、認知症は単なる記憶の問題では無くて認知の問題であるということ、例えば我々の時間間隔とは違うんだということをまず前提において、その上で我々が”まとも”であるとするのは、それが科学的であるとしてみても、その科学的な線引きはやはり近代的な主体による恣意的な線引きであると言うこともできるし、映画がそこまで想定していたかはわからないけれど、マルクスの引用をするということはある程度そういうことも射程に入ってはいるんじゃないかとも思う。何を病気として隔離するかは近代社会の要請によって決まるものだと思わなければ、例えば同性愛の人権なんかは通用しなくなっちゃうわけだし、権利というものは放っておけばどんどん境界的になっていくものなんだから、その一つとして認知症について考えるってのもわかる話だと思う。単純に介護の現場の逼迫した現実ってのもあるのはわかるし。ただまあこれは自分の見に行った映画館の問題かもしれないんだけど、ここまで政治に振り切ってやるのなら物販に資本論とか置いちゃえば良いじゃんとか思ったりもした。斉藤幸平の本とか置いちゃえばいいじゃんもう。そこまでやればもう吹っ切れてて良いんじゃないかとも思う。ある程度こういうジャンルの作家で売れるところまで売れたんだから、あとは映画の力で本を売ります、みたいな感じにした方が嘘が少ないんじゃないかとか思ったけどまあこれは嫌味を言いたかったに過ぎない。
他にも色々書くことある気がするけど、疲れたからやめにする。濱口竜介のハッピーアワーはもう本当にあり得ないぐらい面白いのに、なんだかあの映画にあった輝きをどんどん手放していってる気がするなあこの監督は。俺はもっとショボい奴とか見たいなあ。
『リンダとイリナ』 監督:ギヨーム・ブラック
ユーロスペースでギヨームブラックの特集?かなんかがやってたんだけど、めんどくさくて配信で短いのを見た。初めて見たけど面白かった。本当になんでもない話だけど、静かで良いなとか思った。そんな面と向かって引っ越したら連絡取らないかもとか言われたら腹立つよね。仲直りできてよかったね。
『東京上空いらっしゃいませ』 監督:相米慎二
ラブホテルは俺の人生ベスト映画の一つだと思うんだけど、そのわりに台風クラブとセーラー服と機関銃以外は見てないなと思って見た。良かった。最初の30分で全部持ってこうとする気合いを感じた。まあ中盤だれるとは思うけど。井上陽水の帰れない二人も良い曲だ。最後二人で歌って踊ってみんなで騒いで…みたいなのは良いシーンだと思った。まあありがちだけど俺はああいうのに弱い。ベッドパートナーにもあんなシーン無かったっけ。それも凄い良かった記憶がある。あとは10年ぐらい前のなろう転生アニメの冒頭とかで、主人公が気の抜けた神様と話すシーンとかって、アニメであるせいで損してるのかもなとか思ったりした。異世界スマホの話だけど、あれって実写だったらまあまあ凄いんじゃないかとか思った。実際のところCGで丁寧にやられるとショボいとか、普通に監督とかの力量の問題だったりもするのかも。
しかしまあ、正直それなりにロリコン映画ではあるというか、80年代の”女の子”の描写ってみんなこんな感じなのかなというか、こういうやけにハキハキしてる喋り方というか、まあ俺はそういうの楽しめ方だけど、こんなんでウットリしてちゃいかんでしょとか思わなくもない。ハンバーガー屋の前にとぼけた感じで出てくるところとか、きんぎょ注意報みたいだなとか思ったりして、それはヤバいんじゃないの…みたいな。まあ古い映画にそこまで言うつもりはないけれど。
『夏の庭』 監督:相米慎二
これはつまんなかった。猛烈につまんない。まず思うこととして、みんな子供を聖化しすぎなんじゃないかというか、10歳ぐらいの子どもが葬式に行って、見たままに物事を受け止められないでしょとか思った。普通に世の中のありがちな価値観とかモノの見方に影響受けて、なんとなく悲しい気持ちになってみたりするよ多分。そんな棺が運ばれて鉄の扉の中に入れられて…みたいな観察ができるようになるのは、むしろ大人になってからなんじゃないのとか思わなくもないけど、実際のところは子供じゃないからもうわかんない。俺はもう少しマセてて嫌な子供だったと思うけど。
あと凄い嫌だったのは最後お爺ちゃんが死んじゃって、その遺体と何十年振りとかに対面する昔の奥さんのセリフが「おかえりなさいませ」なのも、この画質で見せられると正直たまったもんじゃない。本当に言葉通りに「奥さん」じゃんみたいな。これぐらい素朴だと余計にキツいものがある気がした。
一か所、ヨボヨボの三國連太郎が公園でブドウ食ってるところは本当に良かった。寂しすぎ。
読んだ本
8月は小説は少なめに終わった。クンデラの小説を何冊も買ってチマチマ読んでたんだけど、結局二冊だけしか読み終わらなかった。月の頭に芥川龍之介を読むべきな気がして、全集からその巻だけ出してきてまあまあ読んだんだけど、別に全然好きじゃない気がして読むのをやめたりもした。
『ほんとうの自分』 著者:ミラン・クンデラ
この作者って、不滅とかを除けばある意味全部同じなんじゃないかとか思ったりした。それもどちらかと言えば良い意味で。存在の耐えられない軽さを読んだときも思ったけど、この人の小説の感想を書こうとすると自動的に自分の話をすることになる気がする。だからまあ感想は割愛。短いし、読みやすくて良いと思いました。
『冗談』 著者:ミラン・クンデラ
初期作らしい雑味が多くて楽しかった気がする。ほんとうの自分とかになると省略されちゃうような、共産党時代の裁判の話だとか収容所の話だとか、そういうもう少し実在的なドラマの部分に時間を多く割いてて、それがこの人にしては珍しくて良かった。リレー大会でわざと遅く走る話とか、若いせいで自分の人間性がまだ借り物でしか無いやつの話とか、あるよねそういうのみたいな楽しさがあるなあ。村の伝統の祭りに息子を参加させたかった奴の夫婦喧嘩が凄まじくて良かった。食器割りまくるやつと無視するやつ、みたいな。夫婦喧嘩の無視って裏必殺技みたいな感じがして良いなあ、食器割りまくるとかも感情表現として真っ直ぐなのにめちゃくちゃな感じがあって良いなあとか思った。
音楽
サマソニに行った感想もなんとか書きたい。夏フェスなんて行くの人生初めてだ。もう二度と行かない気もするし、行って良かった気がする。あと最近Apple Musicにもお気に入りした曲を自動でプレイリスト化してくれる機能が追加されてて、サブスクをSpotifyから乗り換えた。飽きてたし変えたい頃だった。Spotifyの方が曲少ないし。パソコンで使うにはSpotifyの方が良いんだけど。
人に教えてもらって今月の前半はよく聴いた。この曲の始まり方はマジであり得ない。パンクだけどあんまり直線的過ぎる感じもしなくて、なんか変な曲が多い。三曲目のこの曲とかマジで変な曲だと思う。真ん中のドラムソロとか意味不明だし。何がしたいのかよくわかんなくてカッコ良い。歌もポップだし演奏も気持ち良い瞬間が多いのに、とにかくなんか捻りたいみたいな気持ちがずっとあるのが嬉しい。こういう明るくてなんか意味わかんない音楽もっと聴きたい。
高田渡と一緒に音源を作ったりしてるシバっていう漫画家兼フォークシンガー?がいて、その人の曲だと思う。このアルバムでは高田渡も歌ってる。正直今この歌詞で歌ってるやつがいたら絶対好きにならないと思うけど、昔の曲だしなとか思うと単純に曲の愉快さから色んなことを許せる気がする。結局俺が今のものを好きになれないのは、その時代的な空気から切り離されてからでないと、自由に、というか勝手に聴きにくいみたいなところがあるからな気がする。やっぱり今の作品に対して好き勝手言うのはそれなりに気が引ける。音楽より俺の方が偉いと思ってたりするのかな。演奏中は逆のことをよく思うけど、家で音楽を聴くときはその逆のことを思ってる気もする。でもまあ作った人の顔とか見えるとそいつと俺なら俺の方が偉いとまでは思えないし、過去と俺なら少なくとも実際とは違った関係になれる気がする。
Rocks Off – The Rolling Stones
ずっとよくわかってなかったストーンズがここにきて急にわかってきた気がする。80年代のストーンズがカッコ良いみたいな話を聞いて、Undercoverを聴いてカッコ良かったからそこから下に降りて行って、Some Girlsあたりでなんとなく掴んできて、このアルバムでもう完全に好きになった。最高。なんか凄い掴みどころが無いというか、なんとなく雰囲気で流れてく感じのアルバムで、多分ある一時期の彼らの気分みたいなものを凄い解像度で切り取ることができたアルバムだったりするんだろうな、みたいなことをApple Musicの解説文を読みながら思った。本当に良いアルバムだと思う。引っ掛かりの少ない曲だけど、的は一つも外してないみたいな。考えてみて、同じ時代のバンドに比べてもあまりにもなんでもないというか、音もかなり軽いし曲に癖が無さ過ぎる気がするけど、それってかなり変なことなんじゃないかとか思わなくもない。普通音楽やるやつってもっと何かであろうとするというか、ドアーズとかの方が何か再現性あるように思えなくもない。Let It Bleedあたりも普通に名盤だと思う。友達みんなに薦めたいけど、好きになる人は少ない気もする…。普通に古い音楽ではあるはずだし。
デビッドバーンの話は個人的なことにしかならない気がしたから書かない。Burining Down The Houseは俺にとって凄く大事な曲なんだなとか思ったりした。あとのことは全部どうでもいいと思う。ステージの上で起こってることも、本当は俺には何にも関係ないと思う。でもまあ音楽なんてそれでいいんじゃないかと思わなくもない。
なんか他にも感想が書けそうなことはたくさんあるんだけど、もう流石に書くのが面倒だからやめにする。ハッピーアワーを見に行きたい。オールナイトはキツイような、10月まで待っても良いかも。

