年を越してからずっとピンク映画を見てます。教科書でもピンク映画については触れたけどセックスを覗き見するみたいなのってある意味では劇映画の本質に触れているような、勝手にそんなことを思ったり。デメキングを見てからいまおかしんじの映画にドはまりしてしばらく布教してまわるかも、まあ損感じで。
「獣たちの性宴 イクときいっしょ / 彗星まち」 監督:いまおかしんじ
いまおかしんじのデビュー作。冒頭寝取られた恋人が家から出ていく引っ越しのシーンで、主人公が上から目線の嫌味をずっと言ってるのが笑える。登場人物がわりと性的に入り乱れてるんだけど軽い調子で話が進むのが良くて、愛憎みたいな話にならないのはこだわりなのかなとか思った。みんなで死体を燃やしてから川遊びするシーンと貰った覚せい剤を使ってセックスしてたら気持ち悪くなって吐いちゃうシーンが良かった、”パパンがパン”も良い。あとはまあヌーベルバーグっぽいなとか思った、あんま詳しくないけどゴダールとか意識してそうだなみたいな。
「援助交際物語 したがるオンナたち / かえるのうた」 監督:いまおかしんじ
これは傑作だった……。あまりにも良いからこれとデメキングは二回見ちゃった。浮気性の恋人に嫌気が差してる女と上京してきて漫画家志望の女が援助交際で生計を立てながら一緒に生活するってだけの話で、まあ生活を通して幸せを見つめるみたいなよくある邦画の一つとも言えそうなんだけど物語の説得力がダンチですね。どう考えてもくさいし恥ずかしいけれど一周回った良さは間違いなくある、と思う。ベストシーンは最後のかえる跳びで帰って玄関のドアを開けてから全部だけど、それを抜くならドライヤーで熱風をかけながら暴言を吐く変なSMと恋人の名前を呼ばせながらセックスするシーン。音楽の使い方がちょっと小津っぽいなって思ったけどさすがに小津っぽさって一つの手法として成立しちゃってそうだからだからどうとかは無いのかも。
「愛欲みだれ妻 / 恋する。」 監督:いまおかしんじ
これも良かった。冒頭の謎のサイボーグおじいちゃんにガソリンスタンドで尻から給油する流れが神。いまおかしんじってこういう意味わかんない存在をポンって日常の中に放り込んでくる面白さがあって、リアリズムのバランスをわざと崩して映画の調子を良くするみたいなことやる気がする。こんなやついなくても良いんだけどこれがあるだけで何か映画に入り込みすぎなくてすむようになるというか、辛気臭い物語そのものに対してちょっと身構えなくなるようなそんなユーモアを感じる。夫の浮気を知った主人公が若い男に執着して家まで追いかけちゃうシーンがベストですね、こういうのを見たくて映画見てるのかも。ラストは笑えたけどまあ肩透かしと言えば肩透かしかも、悪くは無いけど。
「SEX配達人 おんな届けます / 宙ぶらりん」 監督:堀禎一
いまおかしんじ以外のも見ようと思って見たけどこれはそんなにハマらず。変な器具をいっぱい持ち込むヤバいデリヘルの客は怖いし笑えて良かった。あと風俗行きたすぎて給料日まで待てないから恋人に金借りようとするのはいくらなんでも酷くて笑えた。でもまあ後は普通のメロドラマ、成瀬巳喜男とか見てるときの気分に近いんだけど正直俺には関係ない話だなあとしか思えなかった。まあ映画なんてほとんど俺に関係ないからそれが悪いわけでは無いんだけど、この映画の主人公二人は特別興味深い男女にも思えなかった。脇役のデリヘル嬢とか店長とか真面目な眼鏡とか弁当屋のおばちゃんとかの方が面白かったような、俺別に結婚とかどうでもいいし。まあでもすんなり見れたし趣味の問題な気もする。
「熟女・発情 タマしゃぶり / たまもの」 監督:いまおかしんじ
いまおかしんじの映画は今のところ全部好き。何にも喋らなくて言われるがままの女となんとなく流されやすい男の恋愛話で、陰気な人たちが虫みたいに石の下で恋愛してるのを見てるみたいな感じがした。でも主人公の林由美香が可愛すぎるおかげで(せいで?)そんなに嫌な感じもせず、ただまあ弁当のくだりなんかは確かにしつこいし実際されたら結構嫌なのかも。突然しゃべるボウリングの球とか主人公の男の職場での陰キャっぽい感じとか逞しい浮気相手の女とか魅力はたくさんあるんだけどそれをすべて上回る力を林由美香が持っていたような、というか可愛すぎて30代だと思わなかったし原題を見るまで熟女役だとも思わなかった。そうだとすると演出意図を壊しちゃってるとも言えるかもだけど、問題無いと思えるぐらいには魅力的。郵便局に手紙届けに来るときのとぼけた感じとか可愛すぎ。言葉でやりとりできないからセックスばっかしちゃうし簡単なことで暴力に裏返っちゃうのかなとか思った、でもまあ林由美香が可愛いから味方したくなる!
「さすらいの恋人 眩暈」 監督:小沼勝
ハマらず……。借金返済のためにシロクロショー(金をもらってセックスを見せるショー)に走る男女の破滅に向かっていくような青春映画で、話も悪くないし見てて面白い感じはするんだけど音楽の使い方は普通にくさいしなんとなく価値観から合わない気がした。最後の大勢の前でセックスをするんだけど全然勃たないみたいなシーンとか自分好みな感じがしたのにハマらず、なんかこういう題材で元気よく青春面されるとウザいのかも。自分を好いてくれる女を不幸にさせて破滅に向かっていく自分のことが好きなんだろ?みたいなムカつきがあった。まあ汗臭い男のナルシズムみたいなのが好きならいいかもだけど、さすがに古すぎるかも。冒頭の落ちるとわかって薄氷に乗って当たり前に池に沈んで、見かねた男も一緒に落ちて……みたいなシーンのまんまの映画だった。
こんな感じでピンク映画見まくってます。でも感想書いててピンク映画にハマってるというよりいまおかしんじにハマってるのかもとか思った、関連作色々見てきたいですね。あと今回から監督名ぐらいは書くことにした、その方が見やすい気がしたので。
音楽活動については諸事情でPSPのスタジオは全く入れず、代わりにソロとかちょっとした客演とかでスタジオ入ったりしてます。まあ今年は去年よりも耐えの年にもしかしたらなるのかも、ライブもあんまり誘われないし。音源作りたいけどそれより先にやることもたくさんあるような、まあやれることをやっていきたいですね。
あとは最近日本文学全集70冊が届いたのである程度は読まないと、引っ越し前なのに……。間違えて捨てちゃった林芙美子とか平林たい子とか読み返したいし宮本百合子とかも読みたいなと思ったらちょうどよく揃ってるのが70冊セットしかなかっただけだし、すぐに全部読もうとは全く思わないけど。置いといて気が向いたらめくるみたいな感じでいいでしょ、みたいな。