これの更新は月一ということにしました。自然とそうなってる気がしたし書いてないことを負い目に感じるのが嫌なのでそういうことにしてしまうという……。
「宮本武蔵 一乗寺の決斗」 監督:宮本武蔵
これを見るためにシリーズを見始めたんだけどまあ本当にここまで見て良かったと思うような映画だった。細かい部分で良いところはたくさんあるんだけど、なんと言っても最後の七十三対一凄まじさたるや……。気が付いたら画面がモノクロになってて始まる戦いはあっち側の世界というか死の世界というか、異常な空気が満ちていて本当に息を飲んだ。誤解のありそうな言い回しになるけど、斬り合いのカタルシスが変に欠けているというか、妙なみっともなさとか美しくなさがあって、大興奮って感じのした般若坂の決斗と比較しても異様なものを撮ろうとしてるというか、剣の道を進む人間の業を一気に見せられてるような気分だった。内田吐夢の映画って色んな人間の抱える業を映したがるところがあるけれど、これはそのなかでも随一なんじゃないかというか、飢餓海峡も凄かったし大菩薩峠のラストとかも印象的だったけどこれは特にとんでもないものを見たぞみたいな気になった。ここまでくると内田吐夢の映画をもっと深堀りしていきたいような……。
「七人の侍」 監督:黒澤明
ここにきて最も有名そうな邦画の古典を見た。黒澤明の映画って見ると面白いんだけどなんとなく馬の合わなさみたいなものを感じてて遠ざけてたんだけど、内田吐夢のおかげでチャンバラ見たい欲が高まった結果見るかという気に……。ただ蓋開けて見てみたらチャンバラ映画というより戦争映画だなって思った、塹壕戦見せられてるみたいな。それはそれで面白いんだけど期待してたものとは違って変な肩透かしは感じた、多少だけど。まあその辺も含めて総評としては前半最高後半まあまあみたいな感じ、仲間が集まっていくところが一番見てて楽しかった。志村喬の登場シーンとかマジでカッコよすぎる、強盗倒すみたいなとこ。あと「この飯、疎かには食わんぞ……」とかカッコよすぎ。まあ名優大集合って感じで見てて楽しかったんだけど、良し悪し抜きで漫画的すぎるように思った。逆なんだろうけど。三船敏郎のキャラクター感とか本当見てて楽しいんだけど俺のフェチみたいなところには全く触れないみたいなすれ違いがあった。なんかその辺も含めて黒澤明の映画って男の世界過ぎて乗れないんだよな……。人間じゃなくてキャラにしちゃって大局を眺める物語にしちゃうところとか、あとはインテリの潔癖な大衆批判みたいなのにも素直には乗れない。気持ちがわからないとか言ったら嘘だけど、あんなに真っ直ぐは思えない。ただこの辺は20世紀初頭に生きた人だからこその感覚だったりもするのかなとかも思うし、それをそのまま批判的に捉える気もないけど。生きるとかの文芸映画っぽいのも見てみたい。
「不倫日記 濡れたままもう一度」 監督:サトウトシキ
これはかなり変な映画だった。が、超良かった。前半は少し捻った不倫ものって感じで、小説家になるために地獄を見たい女が旦那に許可をとって不倫するって話で四角関係の不倫模様がまあまあ面白いぐらいだったんだけど、中盤いきなり映画がひっくり返ってそこからが凄まじい。ペッティング・レズ・性感帯とか青空を見た時も思ったけどサトウトシキは死を描かせると他の追随を許さない冷たさを画面に収めることができて、その冷たさによる物語の転倒みたいな結構凄まじいものを見れたと思った。後半の筋書きとかオチとかめちゃくちゃなんだけどそれが逆に良くて、視覚的であるからこそ、そして正面からセックスを撮るからこその飛躍を感じられた気がする。あんまり具体的なことを書かないのは見て欲しいからです。
「リンダ・リンダ・リンダ」 監督:山下敦弘
ハルヒに影響を与えたというあの……、言うとわたモテとかにも出てたよね。苦役列車がなんとなく良かった気がしたから有名なこっちも見ようと思ってたんだけどこれは当たりだった。言っちゃなんだが普通の青春映画なのに素直に乗っかれたのはリズムの心地よさとかユーモアのバランスとかなのか。このシーンが特別良いみたいなのが特になくて、同じリズムがずっと流れてる感じなんだけど別に緊張感があるわけでもなくて、家族で見たりしても良いのでは。あらゆる要素が脱臭されていつつも放棄はしてない感じがまあ良い映画だなみたいなことを思った。
「課外授業 暴行」 監督:瀬々敬久
サトウトシキは結構見てるのに他のピンク四天王は一個も見てないぞということで見た。何これって感じ。最初のシーンとかはかなり笑えたし端々に良いところはあったけど話は意味わかんないし、単純にカットの繋ぎが下手だなとも思ったし、人物描写も好きじゃないところが色々あった。ショットは良いんだけどな……。ジャパゆきさんとして出てくる女がレイプされた後にその男のこと好きとか日本のことも好きとか言っちゃうノリはガチで好きじゃ無さ過ぎる!そんなわけないじゃん!あと終わりの方に向かっていくにつれてどんどんダメになってくし、最後みんな殺した女が死ぬ瞬間もダサすぎ。良かったのは最初の淫行教師をゆするところとバッティングセンターでヤクザをボコボコにするところぐらいかも。
「黒い下着の女 雷魚」 監督:瀬々敬久
これはかなり良かった。本当に暗かったけど。胸がつっかえたような気分がずっと続いてて、ちょっとした会話もセックスも暴力も全部孤立してるみたいな憂鬱さがあった。ガソリンスタンドのセックスシーンとか殺人シーン二つともがマジで良かった。あと鈴木卓爾は神、デメキングでも神だったしこの人が主演級の映画もっと見たいかも。死に際の「なんで?」はその通り過ぎて笑えた、最高。
「変態テレフォン ONANIE」 監督:佐野和宏
終わり際までマジで最高だったんだけどオチだけは納得いかず……、でも褒めてる人はみんなラストを褒めてるような印象。わりかし大きなものを語ろうとしてる映画だったと思うんだけど最後急に情緒で片付けようとしちゃうのはなんなんだというか、変な敗北ロマンなのかなんか急にどうでもよくなっちゃうような肩透かしをくらった。でも前半は本当に良くて、映画が始まった瞬間からセンス爆発みたいなスピード感でどんどん引き込まれてくみたいな楽しさがあった。映画監督志望の青年が最高で、ずっと謎の歌を歌ってんのが間抜けすぎだし車でオナニーしちゃうところとか馬鹿すぎて神だった。あと中盤のゲイセックスのシーンがマジで神、意味不明すぎるけど大爆発みたいなセックスで思わず俺も声を上げてた……。いきなり文句言ったけどあのセックスシーンがあるだけでも神映画と言って良い気もする。
「ロリータバイブ責め」 監督:佐藤寿保
これはグロすぎて途中で見るのやめたから書かなくて良い気もするんだけど多分続きを見ることはないし、15分ぐらいしか見てないのにまあ色々思うところはあった気がする。こういうの好きな人からしたら最高の映画なのかも、グロ系のSMというかマジの倒錯ものみたいな。怖い音楽が流れながら少女(未成年にしか見えなくてマジで怖い!)をバイブで責めてるうちにいつの間にか流血が起きてる……みたいなシーンがもう無理すぎて見るのやめた、その後本当に落ち込んだし。給食に殺虫剤入れるところとか本当にネクラでアブナイ奴みたいな空気があって、DIR EN GREYとかちょっと思い出したけど、彼らはもうちょっと話が通じそう……。同じ監督のゲイ映画でCoilが流れるのがあるらしくてそれも見るつもりだったんだけど多分見ることは無いと思う。あとこの映画がきっかけでCoilとかPsychic TVが少し苦手になったかも。今まで彼らの掲げるものとか逸話をちょっとしたギャグみたいに捉えてたけど、よくよく考えてみたらパンドロジェニー・プロジェクトとかマジで怖いでしょ。まあでもこういう世界が本当にあって、大事な部分が隠された安全なものじゃなくて本当に危ないものを求める感性とかの一端を知れたというか、世界の解像度が少し上がったような喜び(?)はあったかも。インターネットアーカイブにあるから興味ある人はぜひ。
今月はこんな感じでした、まだなんか見るかもだけど。PSP Socialの活動は止まっちゃったけど、新居もまあまあ慣れてきて友達と遊んだりスタジオ入ったりとかそこそこ楽しくやっています。五月の頭には川ライブもあるんで楽しみですね。来月はサポートで参加してるヒョーカのレコーディングもあったりして、まあそこそこになんかやってる気がします。映画の感想以外になんか更新するネタとかあればいいんだけど今のところこれ以上増えてもめんどくさいとしか思えないかも、これ読んでる人いるのかも不明だし。読んでる人いたら教えてください、更新頻度が増えたりするかもです。