最近見た映画、読んだ本、音楽⑬

      column

      気づいたら13回も続いてるみたいですね。まあ投稿も癖づいてきたような気がします。月一更新だと言葉に鮮度が無いというか、普通に素人の感想ブログ以上のものにはならない気がして、どうせ自分を切り売りするような気分なら日記ぐらいのペースにした方が良いように思います。めんどくさいからしないけど。試聴会の感想とかも書くかも。

      映画の感想

      「カンフーマスター!」 監督:アニエス・ヴァルダ
      超良かった。キモイけど。こんな映画の主演に自分の息子を使うのはかなり変なのでは?まあいいけど。自分に子供ができたとしても、子供時代が終わるのはそれよりもっと後の話かもしれないよねというか。大人になってからは大人の恋しかできないとか、そんなことは無いんじゃないでしょうか。知らないけど。愛は永遠の謎よ……とか言って島に行くところはマジで凄い。ジェーンバーキンの大人と少女の混ざりまくった感じが良いですね。この頃のアニエスヴァルダの映画って凄い好きな気がした。

      「桐島、部活やめるってよ」 監督:吉田大八
      なんとなく評判が良いのだけ知って見た。うーん、微妙。というかまあ、これで喜べる人はよっぽど子供時代引きずってる人か、ショタコンぐらいでしょ。神木隆之介のショタすぎる走り方とか普通にあり得ないし。鉄男一緒に見たクラスの子に恋しちゃうとか、あんなの単なるグミチョコじゃん。悪いけどグミチョコ的なものをいつまでもありがたがってる人とは仲良くなれません。あとまあ登場人物の性格の悪さも奥行きが無い感じがした。単に嫌な奴っぽい動きするだけで、個性というか人格があんまり感じられないというか。悪く言うと全部記号だなとか思った。ガンガンオンラインとかの連載漫画なら良いんじゃないでしょうか。一個褒めると最初の金曜日繰り返し続けるところは良かった。変な緊張感あったし、普通にワクワクした気がする。

      「WANDA / ワンダ」 監督:バーバラ・ローデン
      良かった。主人公の無気力すぎて何も上手くいかない感じが悲しい。関係なく見てる途中で体調悪くなったからあんまり覚えてないけど、ラジコン飛ばすところと強盗の練習するところが良かった。暗くてうまくいかない感じの映画は好きだからまた見たい。

      「愛欲温泉 美肌のぬめり」 監督:サトウトシキ
      良かった。サトウトシキの映画は何見てもそこそこ面白い。風呂場で犯される前にだらっと横たわってるところが好き。最後の殺人シーンも最高。

      ↑好きなシーン

      「ハッピーアワー」 監督:濱口竜介
      年間ベストかも。本当に良かった。登場人物みんな大人だからここでちょっと追いかければスッキリするのにみたいなところで全部追いかけないというか、とにかくずっと何かを溜め込んだまま関係が進んでいく感じが良かった。みんなそれぞれ立場とか言いたくないこととかあるしね。重心を探るみたいな謎のワークショップの、わけわかんないこと言った後に結局普通のこと言うみたいなのって主婦層を狙った微妙なスピ系のコンテンツあるあるな気がする。そりゃ手とか繋げば気持ちは良いでしょ、みたいな。最後の芙美が旦那に会う前にすべての選択肢を考えてそれでもチャンスが無かった、みたいなことを言った後の交通事故はある種映画の中のワンダーというか、そういうものを感じた。桜子が再開した男と目合った勢いで不倫しちゃって電車が走ってくところとか、かなり良かったですね。超長いけどずっと面白いからそんなに嫌な感じはしなかった。また見たい。

      「偶然と想像」 監督:濱口竜介
      これも良かった。最初の謎のファムファタ気取った謎の女は結構腹立ったけど。その性格に素直に腹を立てたわけじゃなくて、恐らく大した能力があるわけでもないのに若くて綺麗だからある程度男を性的に傷つけることが得意なだけの普通の人が真剣な顔で傷ついたように振る舞うのは単なる怠惰で、最近はそういう手抜きを褒めそやす風潮がある(と勝手に思ってる)から、それなりに警戒をしてしまったというわけです。まあ面白かったけどね。最後の話はいい話ですね。エスカレーターでの再会(?)シーンは素晴らしかった。一度すれ違って、互いに気が付いたからまた戻ってきて、そうするとまたすれ違っちゃうから声を掛け合って改めて再会が行われる。この一連の流れに詰まった人生の美しさには心を揺さぶられずにはいられない。真ん中のエロ小説読み上げるやつも良かったし、濱口竜介の短編もっと見たい。

      「天国はまだ遠い」 監督:濱口竜介
      まあ良いけど普通かも。なんか感動系の短編漫画みたいな話だとも思った。それにしてはかなり良いけど。主人公の人生に疲れてる感じというか、そのせいで全部馬鹿にする癖がついてる感じは好きですね。なんか最後の相合傘とかいいシーンだと思うし、なんかキュンな感じもするけど別に普通。

      「ハズバンズ」 監督:ジョン・カサヴェテス
      4年ぶりぐらいに見た。前は全然わかんなかったけど、今見ると凄く良い。こいつらってかなり最悪のホモソ集団でバーで歌う女の人を詰めまくっていじめたり、家庭での態度も最悪だったり、男の友情と言えば感じが良いけど加害性ありまくりのダメなやつらなのが悲哀を帯びていた気がする。マジで最悪のやつらだけど真剣に傷ついてるし、自分のダメさで傷つけたり傷ついたりしてるのも本当にダメなやつだし、中年という生き物は自分のダメさを省みたら足元が崩れてしまうから、それを求めるのは多少残酷なのかなとか思った。こんな奴らが親だったらたまったもんじゃないけど。ハッピーアワーが影響を受けてるのもなんとなくわかる、というか濱口竜介がカサヴェテスっぽいのはよく言われてるらしいし。大人になるとどう生きても死んでるみたいな気分がどっかにあるのかもしれないですね。

      読んだ本

      「風の歌を聴け」 著者:村上春樹
      濱口竜介にハマってたからいける気がして読んだ。まず思ったこととして、特徴的なあの言い回しはなんの誇張もない真実だったということで、正直かなり面食らったけれど作品のテーマ(この言い方は嫌いだけど)とあの変な比喩とか妙にアメリカっぽいものが好きなところとか軽いというか冷めた感じは繋がっているように思った。喪失感とか存在の不確かさとか、まあそういう気分を書き起こしたいんだろうなみたいな。それは学生運動が失速し始めた70年代という時代とも結びついてると思うし、アメリカへの憧憬もその転倒なのかもなとも思った。あんまり詳しくないからわからないけど。まあでも面白いと思いつつやっぱりあのノリを好きになり切れない自分がいる。ジェイズ・バーでフライド・ポテトを食ってセックスして……みたいなあのノリはさすがに自分に関係ないような気がするというか。気分への共感はあるんだけどなんか変な感じ。
      あとたまに名前が出てくるデレク・ハートフィールドって80年代以降ならオタクの文脈で語られそうな感じがして、村上春樹は明らかにオタク的では無いからここに歴史の分岐を感じて面白かった。オタクって基本的に学生運動の反動というか、もっと趣味とか自分の好きなものにリソース割く方が賢くてカッコ良いみたいな思想があって、雑に言うと”マジになるのはダサい”ってのが根底にある。これは時代の空気だとも思うけど、まあそういう気分の中子供のころから好きなアニメとか漫画とかに一生懸命になったのが第一世代のオタクだと言って概ね間違いないと思う。DAICON FILMとかを見るとよくわかるけど彼らは何でも茶化すしそれこそが賢さだと思ってる。政治の言葉はレトリックにしか見えないし、派手な戦闘や過激なエログロこそ真実だと多分本気で信じてたんだと思う。庵野秀明が好きな邦画の監督に岡本喜八を挙げてるのとかも俺は象徴的だと思う。つまり真面目さだけで映画を作れない世代の戦争映画にしか興味を持てない、みたいな。多分溝口健二とかは好きじゃないだろうし。とにかくオタクは政治性の無いフィールドを求めた生き物で、それが大人になって急に政治に興味を持つと恋愛とか仕事みたいな普通のことを褒め称える生活礼賛型か、御国を護るために立ち上がる単純な世界観のドラマしか理解できない涙目の陰謀論者(侍)になるのがオチで全く救えない。それに対して村上春樹はまだ政治性の無いフィールドを求めてるとかってわけでは無いなと思う。むしろ政治の季節が終わった後の喪失感と冷めた気分、現実への手触りの無さというかまあ物語の無さをきちんと結びつけてるのは偉いのかなとか思った。まあまだ一冊しか読んでないし、もう少し読んでみようと思う。

      「苦界浄土」 著者:石牟礼道子
      今度『阿賀に生きる』を見に行くからその予習みたいな気分で水俣病の本を読んだ。内容も面白いけどまず一息の長い文章って好きだなって思った。とにかくずっと緊張してる感じというか。水俣病の認識の変化については当たり前のことしか思わなかったから割愛するとして、田舎の漁民の世界観の素朴さに、東京ではほぼ死滅した土着的な日本人的感性があるように思った。まず風呂に全然入らなくて蚤取りの殺虫剤を布団に撒いて寝る村の時計代わりの漁師の爺さんとか半端なさすぎるでしょ。こういう不潔で偏屈な生き方の男らしさって半分わかるし、意味不明だけどまあ凄い。凄いしこんなやつが村に一人はいたのかなとか思うともっと凄い。この生き方って相当誇り高いとも思うし、それを近代化の象徴たる工場の流した排水が奪うって構図も凄まじい。彼は最後まで自分で歩いて集会とかに来るわけだし。頑固ジジイの哲学を正面から馬鹿にするやつはこの解像度を持ってみても良いと思う。働かないで音楽やるとかとはレベルが違うぜ。
      あとは国会議員のことをお父さんお母さんなんて言ってしまう感じ方は今から見るとかなり危ないけれど、まあ実際田舎的な切実さを持った言葉ではあるよなとも思った。そりゃ熊本の海で魚取って生きてるんだから国会議員なんてものは自分たちで選んだ人というより始めから在る現象にしか見えないよなというか。正直今読むとこの間の選挙でみんなのお母さんになろうとしたヤバい人とか思い出すしなんか怖いけど、まあその感じ方がリアリティを持って存在していた記録としては重要だと思う。
      他にも水俣に嫁いできたせいで病気になった女の人とか、入院したら殺されると思ってる子供とか、暴徒化して逆効果になったデモとか、水俣の市民感情とか面白いところはたくさんあった。長いし方言はに言ってるかわかんなくて読むの疲れるけど読んで良かった気がする。

      音楽

      毎月音楽は色々聴いてるつもりだけどなんかまあ特に書くことない気がする。めんどくさいし。ライブの感想とかもあんまり書きたいのが無い。対バンで見たaldo van eyckとMOKU、いきいきバザーで見た色街奴衆は凄く良いと思った。

      Rheingold – Fluss

      今月の前半によく聴いた。クラウトロックの線が伸びてきた感じのドイツのニューウェーブって好きだなって思う。ドイツェ・ヴィレみたいな言い方があったはず。まあDAFとかGrauzoneとかも多分そう。ミヒャエルローターみたいな清涼感あるシンセが良いね、この曲はまんまNEU!だ気もするけど。曲の構成がスッキリして普通の曲っぽくまとまってるのが魅力なような。歌も良いしこういうのは相変わらず好きです。

      moools – モチーフ返し

      このアルバムはよく聴いた。分水嶺は間違いない名曲だし、気の抜けた感じが楽しいグランドフィナーレもユーモラスというかちょっと変な感じがカッコ良い。大曲の温床の都も良いし、アルバムとしてよくまとまってると思う。最大の魅力が歌なのは間違いないと思うから一曲目の表題曲から聴いてほしい。ライブ見に行きたい。

      Tapes – Summer Jam

      この曲は友達に教えてもらっただけで正直何の文脈も知らない曲なんだけど本当によく聴いた。ルール違反な感じするけどまあ良い曲だし。これ伝わるかわかんないけどこの曲はなんか暗い気分がずっと続いてて、何も聴きたくない時に聴くと凄く良い。全然暗い音楽じゃないのに。まあそういうのある気がする。

      今月はだいたいこんな感じでした。CFの初ライブとかヒョーカとかサポートが忙しかったような、試聴会もあったし。試聴会について、俺はあれより音量あげると辛い気がするけど会場の一角でオタクの集団がずっとはしゃいでるみたいなのはなんかまあ良いけど知らん内輪が生まれてるみたいな感じで変な気分だった。別にみんな友達だったりするんだけど。音楽聴かないなら外出ちゃって良いじゃんとか思うけど、それが言い過ぎなのもわかるし、俺はこの試聴会で何がしたいのかよくわからなくなった。何かルールで押さえつけるのは違うと思うし、全部聴いたやつなんて主催入れても二人とかしかいないんだからそんな厳しいものにする意味はマジでないと思うけど。ただあの試聴会ってライブでもDJでも無くてただアルバムを通して聴いてるだけで、目の前に人を感じてないからそりゃ途中で興味とか無くすよなとも思う。全部が良い曲なわけでも無いんだし。でもアルバム中盤ぐらいにめっちゃ聴いてほしい曲とかあったりするからそれがそんなに聴かれたなかったりするのは悲しいよ。1gさんの曲とかもっと大盛り上がりすると思ってたのに。まあ俺は集団が膨らむと勝手に辛くなる悪癖があるだけなんで、そんな気にしないでください。
      地底の外で客として来てた実験さん(コンピ参加者でCFの元ベースの人)と話した時間は凄く良かった気がする。俺って結局冗談とかそんなに好きじゃないんだなって思った。お笑いとか嫌いだし。冗談合戦ってやればやるほど思ってること言えなくなる気がするけど、実際のところどうなんだろう。酒とか飲めれば違うのかも。まあ全体通しては楽しかったし、意義も感じてるし、続けたいとは思ってるけど。あれが無いとできない表現が多分俺にはあって、それができるのは主催者の特権でもあると思ってる。即興性については大きな可能性を感じている部分と、そんなに信じられていない部分の両方があって、今回はそういうことを意識しながら曲を作りました。良い曲だと思うから多くの人に聴いてほしい。
      あと主催チームのHyozoさんとジョントレさんには本当に感謝してます。今回も凄く助けられた気がする。三人で作ってる作品だと思うし、誰かに寄りすぎたものになってないのが良いと思う。
      まあ本当はPSPというか自分のバンドがやりたい。バンドが無いとなんか生きてる感じがしないし、仕事してないみたいな感じがする。最近はそんなことをよく思います。今投稿前の最終チェックしててこんなこと書かなくて良いだろってめちゃくちゃ思ったけどまあそのまま投稿することにします。

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